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あらあらそこのお嬢さん、どこへおでかけ? 【imaged by * MARIA(http://www.yel.mnet.ne.jp/~ssskkk77/INDEX.html ) 】
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(・ω・`)ふむ

 



「スペインなら今は出かけてるぞこのやろー」


あれ、おい。スペイン。なんか話が違くねぇか?
足下で俺を見上げている、イタリアちゃんとは似ても似付かない目つきの悪さにぼんやりとそんな事を思った。




「スペイーン!俺様が遊びに来てやったぜー!」


高々に笑いながらスペインの家のドアを開けたのは数分程前の事だ。
今回はなんとアポなしのどっきり作戦だぜ!なんて言ってみたはいいものの、家の中はしんとして誰かが出てくる気配すらない。
何だよおい、せっかく遊びに来てやったのによ、唇を尖らせて玄関を抜け、家の中へ入り込む。
(一人っていいよな、他人の家入り込んでも誰も咎めたりしねぇもんな、やっぱ一人楽しすぎるぜー)
廊下を進む。誰もいない。仕方ねぇな今度遊びに来る時は連絡しといてやるか、などと考えつつ、尚もいないであろうスペインの名を呼ぶ。

すると、
かちゃりと鳴って、通り過ぎたばかりのドアが開く音がした。


「何だよいたんじゃねぇか!」


と言って後ろを振り返るがしかし、そこに人はいなかった。
いや、一瞬そう見えた。


「スペインなら、今は出かけてるぞこのやろー」


小さすぎて、自分の視界に入ってこなかっただけだったのだ。




「お、お前もしかしてもしかしなくてもロマーノだな」


髪色や背格好は、たしかにイタリアちゃんとそっくり似ている。
(特徴的な癖毛までそっくりだ)
けれどこの違いは何なのだろう。
一言で言えばまるでかわいくないのだ。
いや顔はかわいい。と言いたい。
声や顔には不機嫌さが隠しもせずに表されていて、正直本当に兄弟かと今すぐ訊ねたいところだ。
予想通り、返ってきた言葉は愛想の欠片もなかった。


「・・・誰だてめぇはちくしょー」
「まさか俺様の事知らねぇのか!」
「知るかよ、スペインはいねぇぞさっさと出て行けばかやろ」


うわー!かわいくねー!!
と思ったけれど、さすが俺様、声には出さないぜ。
しかしこれは、あまりに違う。
いやそりゃ、イタリアちゃんとも全く違うのだが。
(あのかわいさはまじで天使だイタリアちゃんが微笑むだけで世界が救われるぜいや本当に)
何と違うかって、スペインの話とだ。


「スペインどこ行ったか知ってるか?」
「何だよ俺の知らねぇことはねぇぞ。なんかあいつの上司に呼ばれて出てった」
「そうかー、」


相変わらず不機嫌だ。いや、不機嫌と言うよりこれは性格なのだろう。
おかしい。
スペインの話ではそりゃもうかわいくてトマトみたいで(トマトみたいと言うのはよくわからない)天使でかわいくてちっちゃくてかわいくてほっぺとかふにふにしててかわいくて・・・以下略状態のはずだ。
俺の頭の中では、もうすっかりイタリアちゃんと瓜二つのかわいい天使になっていたのだが。
何しろここのところ、スペインの話はそればっかりなのだ。
あ、でもちょっと思い出したぜ。あいつ最初の頃は愚痴ばっかり言ってたな。
あーでもそれは聞き流してたんだよな俺様。


「んじゃー、あいつ帰って来るまで待つか」
「・・・」
「そんな嫌そうな顔すんなよな」


かわいくねぇなほんとに。
お、そうだ。フランスもロマーノの事知ってたよな!
しかし記憶に蘇るのは、スペインの家の敷地内の木の陰から庭を覗き、ロマーノかわいいよロマーノと、それはもう天国にいるかの様な夢見心地な表情をしていた彼だ。
そしてあれだ。俺も覗きこもうかと思ったら後ろから静かに肩をたたかれて・・・
あー怖ぇ怖ぇ。あの時のスペインまじ怖かったぜー。全盛期時代並だったもんなー
いやそうじゃない。
フランスやスペインの言う「かわいいロマーノ」ちゃんはどこにいるんだ。

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