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あらあらそこのお嬢さん、どこへおでかけ? 【imaged by * MARIA(http://www.yel.mnet.ne.jp/~ssskkk77/INDEX.html ) 】
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大暴れ、をした。
家出をする時大概がそうである様に、右に行くか左に行くかもわからぬまま、真っ白な頭で飛び出した。
数十歩ほど歩いた所で、後ろから追いかけてきた軽い足音と、少しトーンの高い声。


「スーさん!」


無視をして突き進む事もできただろうが、何故だかその時は足を止めていた。
そこに何か考えがあったわけではない。無論、真っ白な頭が反射的にそうした事だった。
足を止めた以上、振り返る。
自分の目線よりもかなり下の位置に、膝に手をついて息を切らしている彼がいた。

引き留められるのだろうか、

思った矢先、笑顔とも泣き顔ともとれる顔がこちらを向いた。


「あの、僕も、・・・僕もついて行っていいですか」


プラチナブロンドの柔らかな髪の毛が風に舞い、淡い紫を帯びた紺青の眸が揺れる。
綺麗だ、と、素直に思った。







「似てっぺ」
「へ?」


大きく円い眸をしばたかせ、フィンランドは唇を弧状にしたままに声の主を振り返った。
膝の上では、(クッションの様に見えるのだが、)花たまごが丸くなって眠っている。


「おめぇと花たまご」
「え、そう・・ですか?」


曖昧な笑みで、子犬を撫でる。
少し俯き考えて、フィンランドは再びスウェーデンを見た。


「それって、喜んでいいんですかね?」
「・・・・ん、」


じっと見ながら頷くと、彼はふわりと顔をほころばせて照れた様に「ありがとうございます」と言った。
犬と似ていると言ってしまったのはまずかっただろうか、などと思いはしたが、見る限り彼は嫌な顔をしてはいないので安心する。
そうだ、子犬はかわいいのだし。いや、そう云う問題でもないのだが。

自分よりも幼い容貌をした彼は、同様に自分よりも幼い声で、眠っている花たまごに何やら話しかけていた。
小柄な身体をソファにすっぽりと沈み込ませ、その横顔は笑っている。
とても甘く、綺麗な声だ、と思った。


優しくて、少し気が弱く、それでいて好戦的な面もあって。
あの時追いかけて来た、淡い色の小さな足音、そうして縋る様な色をした眸。
どこまでもついてきて、必ず自分の傍にいるその姿。
(無論、こちらとて放してやる気はさらさらないのだが)

本当に、子犬の様だ。


「スーさん?えと、大丈夫ですか・・?」


不意に、フィンランドの不安そうな顔が覗き込んできた。


「・・・ん、なんでもね」
「そうですか、よかった。あ、お茶でも煎れましょうか!この前エストニアがすごく美味しいお菓子くれたんです」


彼はそう言って、いつの間にか起きていたらしい花たまごを連れてキッチンへ向かう。
窓からの風に、甘い焼き菓子と紅茶の香りがふわりと漂ってきた頃。
愛しい声が自分を呼んだ。


*******************

フィンと花たまごが似てると思うのは私だけですか
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