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あらあらそこのお嬢さん、どこへおでかけ? 【imaged by * MARIA(http://www.yel.mnet.ne.jp/~ssskkk77/INDEX.html ) 】
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降れ

咲いて

舞い

踊れ

そして散れ!


「・・・あぁ」

指先まで自分のものとして動く感覚

自分の頬を抓ると、柔らかい感触と小さな痛みが走った。
自身の体温が指を交いして伝わり、改めて血液の流れを知る。
頬に触れる金髪がくすぐったい。

何もかも 取り戻した

「兄さん」
「どうした?」

前を歩く腕を掴むと、手の平に滲む体温。
シャツ越しのそれは、けれども確かな温かさと共に彼の存在を示していた。
腕を掴んで黙ったままの自分に、兄は訝しげな顔一つ見せず、心配そうに苦笑する。

「アル?」
「久しぶりだね、兄さんに触るの」

会うことの叶わなかった三年間
唯二つ年上だった兄は、既に五つも離れてしまっている。
三年間、休まず継ぎ足されていく記憶に、望む彼はいなかった。
失くした四年間の記憶を、どんなに惜しく思ったか。
たとえ過去の記憶だろうと、そこには確かに、彼が存在していたと言うのに。

「・・・あったかい」

ようやく取り戻した記憶にあるのは、体温の無い兄。
否、体温が無いのは自分で、何に触れても感覚が分からなかっただけなのだ。
四年間、追い求めた 人の温度

「あったかい、ね」

失くしたものは、全て此の手で取り戻した。
感覚も 記憶も 

「兄さん、も」

四年間流すことの出来なかったものは、今確かに自身の頬を伝っている。
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